日本で『冷凍食品を使っていますか?』の質問に対し、8割強が使っていると回答しているのに対し、その頻度は約半数が「週1~3回」で、ほぼ毎日は1割程度*¹。
一方、映画などの日常風景シーンにもよく冷凍食品が登場するアメリカではコロナ禍でますます冷凍食品の需要が高まっているという*²。
日本と海外で冷凍食品の利用頻度や目的、また冷凍食品のイメージにはどうやら違いがあるようです。
冷凍食品の使い方や考え方を世界で比べてみました。
目次:
・冷凍食品の高まる人気。その理由とは
・栄養学的にも優秀な冷凍食品
・冷凍食品は実は割安!?
日本のアンケート調査で見られる誤解
日本における冷凍食品は世界でもとてもレベルが高いといわれています。ですが、日本ではそのクオリティの高さが十分に認知されていない・活用されていないようです。
アンケート調査*¹によると冷凍食品の利用シーンの多くは「お弁当」であり、また、イメージに「手抜き料理」「美味しくない」「体に良くなさそう」などのネガティブな意見も見られます。
冷凍食品を活用するアメリカの食文化
では、ところ変わって他の国ではどうでしょう?
今回はアメリカでの冷凍食品の使い方・考え方を食育、栄養学、ライフスタイルという面で探ってみました。
この四半世紀の動向をみても専業主婦/主夫の割合が20%前後*³と、夫婦で家事以外に何かしらの仕事を抱えているという世帯が多いという背景もあり、「食事の準備にかける時間の短縮」は大きなメリットとして捉えられているようです。
多くのアメリカ人にとって冷凍食品が食卓にあがることに抵抗が無いどころか、むしろ冷凍食品が日常に欠かせないと言った方が正しいかもしれません。
調理の時間短縮や利便性という点で、米国の冷凍食品人気はこの50年で高まり続けているようです。
冷凍食品の高まる人気。その理由とは
またその使われ方も補完食材にとどまらず、TPOに応じて利用出来るよう、メインディッシュ、サイドディッシュ、スナック、デザートなどが様々なアレンジでバラエティに富んだ選択肢が並びます。
消費者のニーズに沿う形で各食品メーカーが魅力的な冷凍食品を開発し続けてきた結果、多くのスーパーで冷凍食品コーナーは広い面積を占める人気コーナーに。
栄養学的にも優秀な冷凍食品
しかし利便性だけでここまで家庭の日常に浸透するものでしょうか?
調べを進めると「食育」や「栄養学」の面からも冷凍食品を使うことが推奨されているようです。
米国の大学(UGA)の研究によれば素材の栄養価は冷凍することでピークの栄養価が保持され、食品の劣化も防げることから栄養面で優れているとの見解が発表されています*³。冷凍食品を利用することで、複数食材を、必要な量だけ食事に取り入れることで、必要以上の量を摂取することを防ぎ、一日に必要な栄養素の90%はカバー出来るとされ、優良な食べ物という見解も食育に冷凍食品が推進されている理由ではないでしょうか。
冷凍食品は実は割安!?
冷凍食品を利用することのメリットはこれらだけにとどまりません。
中級レストランで1人分が$15~$45ドル(約1600~4800円)と、高くつくアメリカで、コストを抑えて家で外食気分も味わうことが出来る冷凍食品は、日常のライフスタイルの一部と化しているようです。
また「必要な量だけ」という面からも無駄な出費を防ぐだけでなく、食べ残しを防ぎ、フードロス対策にもなりますね。
冷凍食品がリモートワークを支える
日本の食育の捉え方の多くが「天然素材から、手間をかけて作り上げる」というメッセージが多く、それが理想と現実のギャップに追い込むストレスの要因になってしまうケースも少なくないようです。
リモートワークが多くなっている環境下で、負担が増えたと感じる家事1位は「料理」だそうです。働き方の変化と共に、家事の中の「料理に関わる時間や労力」に対して視野を広く持ってみる良い機会かもしれませんね。
世界トップレベルの日本の冷凍食品の「利便性」や「美味しさ」、「栄養価」の恩恵を、おうち時間をもっと豊かにする為の手段として、またおうちで外食気分を味わったり、いつもの家庭の味と違う料理を楽しむための選択肢として、積極的に利用するのも良いのではないでしょうか。
*¹Japan Frozen Food Association (日本冷凍食品協会)/ BELLE MAISON 生活スタイル研究所
*²FOOD DIVE
*³ Pew Research Center
*⁴American Frozen Food Institute(UGA=University of Georgia)